《MUMEI》

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ようやくおとなしくなった彼を見て、わたしはヤレヤレと肩を竦める。


「せっかく、良い『オトモダチ』になれると思ってたのに」


ガッカリさせないでよ、とぼやくと、清水君の怒りに瞬間着火したようだった。


「ふざけんなよッ!!モテるからって、ひとのことバカにしやがってッ!!」


急につかみ掛かってきた清水君を、わたしはヒラリとかわし、彼の腕を掴み、手首を軽く捻って、背中に押し付ける。

清水君は、いててッ!と悲鳴をあげながら、顔を歪めた。

その表情を覗き込んで、わたしは、言ってなかったっけ?と、ニッコリほほ笑んでみせる。


「わたし、中学までず〜っと合気道習ってたの」


わたしの笑顔を見た清水君は、サッと顔を青くした。

清水君は力いっぱいわたしの腕を振り払うと、走り去りながら、覚えてろよッ!!と叫んで消えていった。

取り残されたわたしは深々とため息をつき、ノロノロと校舎へ戻った。





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