《MUMEI》

マカは緑茶のお代わりとお茶菓子を食べながら、眉を寄せた。

「…心当たり、あるんだな?」

「ええ、まあ…。ちょっと相手したくないヤツだけど」

「なら…」

「でも事の発端がアタシにあるなら、アタシが処理すべきことでしょう?」

ごくっ、とマカのノドが鳴った。

…スコーンを3つも口に入れるから。

「ヒミカが発端? 原因ではなく?」

「それは誓ってないわ。表の世にいられなくなること、何故わざわざ?」

「フム…」

「信じて、任せてみてはどうです? マカ」

口を出してきたソウマを、マカは軽く睨み付けた。


「ヒミカは血族の中でも優秀な方ですよ。長が将来、あなたの片腕にとも進めている方でしょう?」

げっ。人のいないところでそんな話が出てたのか。

「彼女なら、ちゃんと事件を終わらせてくれますよ」

「…まあヒミカの力は私も知っているからな」

マカはこめかみを爪でかき、アタシを見た。

「…分かった、お前に任せてみよう。だがムリそうであれば、シヅキとラゴウに頼む」

「あの二人に?」

「事件解決としては二人が適任だ。本当は私が動ければ良いんだが…」

「マカは受験の準備で忙しいですしね。セツカも高校受験に入りますし…」

…ああ。学生組の調整でテンテコマイか。

次期当主は多忙を極めているみたいだ。

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