《MUMEI》 ヘタレとのキスイライラする。 「ん〜っと…」 目の前の同級生の男は、一枚の紙と睨めっこ。 「…まだ?」 「あっ、あとちょっと…」 そう言ってもう三十分は経っている気がする。 相変わらずトロい。 国語のテストで赤点を取り、追試のプリントと格闘して早一時間。 国語の担当者である私は、コイツのプリントを国語教師に提出しないことには帰れない。 誰もいない放課後の教室には、アイツの唸り声しか聞こえない。 もうすでに他の生徒達は、私にプリントを渡して帰った。 …三十分も前に。 アイツの前の席に移動して、追試の用紙を見た。 「うげ…」 前にやったテストそのままなのに、何でこんなに間違えるんだろう? これじゃあギリギリ合格点だ。 …まあ合格なら良いか。 「『うげっ』って何だよ」 「そのまんま。まあ…良いんじゃない?」 投げやりに言って、手に持った用紙をパラパラ見た。 国語が得意なので担当になったのだが、コイツは昔っから国語が苦手だ。 コイツとは小学生からの付き合い。 実に十年近い。 …腐れ縁だな。 次へ |
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