《MUMEI》 背も伸びて、黙っていればカッコ良いのに…。 この優柔不断ぶりには腹が立つ。 「こんな問題も解けないクセに!」 もう片方の頬も伸ばす。 「いっいらひっ! ひらひっ!」 (いっいたいっ! いたいっ!) …でも、いつまでもこうすることは出来ない。 いずれは…終わるんだから。 私はパッと手を離した。 「う〜、痛かった」 痛そうに頬をさする。眼に涙まで浮かべて…。 「…答えは、コレ」 私は用紙に書かれている文字を指さした。 「えっ?」 慌てて用紙に視線を戻す。 「早く書いて! いい加減、帰りたいのよ!」 「わっ分かった!」 そして追試は終わった。 「やっと終わったゴメン。待たせて」 そう言って顔を上げたアイツの顔を掴んで、無理やり唇を合わせた。 「…へっ?」 こんな時までマヌケ面…。 「ご苦労様! じゃっ、先帰ってて! 私は職員室行くから!」 用紙を抜いて、私は教室を飛び出した。 一瞬のキス。でも…確かに触れ合った唇。 前へ |次へ |
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