《MUMEI》

さて、こっからが正念場だ。


いざ勇気を出して赤いスイッチに手で触れる。


たが直ぐに引っ込めた。


ああ!!


ダメだダメだ!


“何があっても黙っておくように”


先程のグレイドの言葉が頭から離れない。


「ったく毎回そうなんだよな……。」


グレイドの忠告が遅いせいで、
バルトンの罠にハマったし。


ピットの時なんか忠告さえ無かった。


おまけにラルフのことをぎりぎりまで言わなかったくせに見つかった途端に攻められて……。


今回だってその忠告はもう手遅れになっている可能性だってあるのだ。



一人赤いスイッチを睨みながら、
また考え込む。


でもまあ…だからと言ってこの状況が好転するわけないし……。


再び赤いスイッチに手を触れた。


意を決して、身構える。


そうして……。


カチリ……


ついに赤いスイッチを押した。

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