《MUMEI》

すると、どこからともなくメタル加工を施された、
肘から下の腕が2体飛んで来た。


羽もなく浮遊しているそれに、
驚きで声を上げそうになる。


「オトナシクシテロ。」


いやいや、今さっきまで丁寧語だったよね?


なんでいきなり命令口調になるの?


だが俺の考え無しに、
2体の腕は俺の腕を掴む。


更に同じメタル加工された腕が2体飛んで来て、
俺の両足首を掴んだ。


俺は完全に身体の自由を失った。


赤い目玉は、
そんな状態の俺をジッと見つめる。


なんだか逸らしたらいけないような気がして、
俺もその赤い目玉を見つめ続けていた。


「データトリコミチュウ。

データトリコミチュウ。」
(データ取り込み中。

データ取り込み中。)


機会音声が突如聞こえ、
俺の個人情報を躊躇無しに言い上げる。


「ナマエ、クラウド。

シンチョウ、ヒャクナナジュウイッテンサンセンチ。

タイジュウ、ゴジュウサンキロ。


ヤヤヤセギミ。」
(名前、クラウド。

身長、171.3cm。

体重、53kg。

やや痩せ気味。)

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