《MUMEI》
オゾンの部屋
「まぁ、それが一番だが、君の反応が見たくてね」

「反応?」


何の?


「着いてからのお楽しみだよ」


首を傾げるクーを見て、社長は微笑みを浮かべた。


数分後、社長とクーが乗ったヘリコプターは、O2カンパニーのヘリポートに到着した。


社長の自宅は、本社の敷地内にあるのだ。


そして、社長の大事な一人息子のオゾンの部屋は、その自宅で一番セキュリティが厳しく


一番空調管理が厳しかった。


…相変わらず、だなぁ


風呂に入り、汚れを落とし


服も、下着まで用意された新品に着替え


更に、エアシャワーまで浴びたクーは


クーに見えないように、二種類のカードキーと暗証番号を入れている社長の背中の方を見つめていた。


ただし、実際クーが見ていたのは、社長の姿を隠す、体格のいい社長のSPだった。


「待たせて済まないね」

「いえ」


社長の声と共に、クーは立ち上がった。


そして、社長によって開けられ白い扉の向こうに広がる緑の空間


オゾンの部屋に、入っていく。


「…?」


入ってすぐにクーは違和感を感じた。


「空気が、…違う?」

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