《MUMEI》

猟奇殺人。

この事件が起こり、マカはすぐにアタシに目を付けた。

それと言うのも、アタシの栄養が血肉だからだ。

…動物、人間問わず。

だからマカはアタシに声をかけた。

……まあ半分は心当たりを聞く為に、だろうけど。

何でもマカの親友の子が怖がっている為、マカは動いているんだそうで。

振り回されているって気もしなくもないケド。

でもそういう存在がいるのは、いい。

アタシみたいに、無関心でいるよりは。

普通の人間らしいから。

五人前の焼肉を平らげた後、お会計をした。

そして店に出ると…。

「待ってましたよ。ヒミカ」

「…キシ」

途端に険しい顔になってしまう。

お腹いっぱいで、良い気分も台無しだ。

「ちょうど良かった。アンタに話があったのよ」

「何だ、先に言ってくれればすぐに駆け付けたのに」

そう言ってクスクスと笑う。

男にしては妙に色気のあるキシは、アタシの同級生だ。

だけど…。

「だってボクはあなたの恋人なんですから」

…ストーカーでもあった。

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