《MUMEI》
誤解後…
「自分の恋人を疑うなんて…。ヒミカ、ボクじゃなかったら許していませんよ」

「今でも十分に疑っているわよ。てーか何で公園でフルコース?」

「たまには変わった趣向も良いかと思いまして。せっかくあなたの為に、肉料理を学んでいたのに」

………そのせいで連絡が無かったのか。

「アンタの行動自体が不審過ぎるのよ」

「全て愛が成せるワザですよ」

カンベンしてくれ…。

翌朝。一晩かけて誤解を解いたケド、何故か納得出来ない。

アタシのマンションのリビングで、キシは頬を冷やしている。

…コレはさすがに悪いかな?

聞けばキシは、料理教室に通っていたらしい。

アタシが血肉を好むことを知って、世界の肉料理を学んでいた、と。

そして昨夜、野菜しか食べずに育った動物の肉料理を作って、アタシにご馳走しようと…。

フタを開ければ、何とも情けない真実。

でも昨夜、マカに連絡を取り、確認してもらったところ。

料理教室に通っていたことも真実。

そして事件の時、料理教室にずっといたのでアリバイも成立。

………マカが深夜に関わらず、大笑いしてたっけ。

まあでも一般の人間であるキシに、血族のことを知られたのはさすがにマズイらしい。

けれどその優れた情報網を持っていることや、アタシや同属への理解があることから、将来、アタシと結婚するならば、このままで良いと言われた。

…コレって自業自得?

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