《MUMEI》 キシは痛い目に合ったものの、婚約者になれたことに嬉しさを隠せないようだ。 今もタオルで頬を押さえながら、ニコニコしている。 「でもアンタ、洋食コースを選んでいるのに、わざわざ他国のも学んだの?」 「ええ、モチロン。いろいろな料理教室をハシゴしましたとも!」 …おかげでアリバイを取るのも、楽だったらしい。 いろんな意味で目立つからな、コイツ。 ちなみにアタシとコイツの通っている専門学校は、料理の専門学校。 アタシは和食、コイツは洋食。 他にもお菓子の専門科もある。 …なのにわざわざ、他国の肉料理を学んでいたのか。 本当に愛されているな、アタシ。 「でもボクが連絡しなかったせいで、ヒミカに迷惑をかけていたことは謝ります。すみません」 「良いのよ。アタシも勘違いしてたし。お互い様ってことで」 でも婚約者にさせられたんだから、アタシの方が大きなマイナスなような…。 「ふふっ。まさにケガの功名ですね」 そう言ってアタシの隣に移動してきて、ぎゅっと抱き締めてくる。 「結果オーライってことで」 「その前に」 ぐいっとキシの体を押した。 「事件の真相を突き止めないと…。マカに睨まれっぱなしなのは、いただけないわ」 「あっ、そうでしたね」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |