《MUMEI》

キシは痛い目に合ったものの、婚約者になれたことに嬉しさを隠せないようだ。

今もタオルで頬を押さえながら、ニコニコしている。

「でもアンタ、洋食コースを選んでいるのに、わざわざ他国のも学んだの?」

「ええ、モチロン。いろいろな料理教室をハシゴしましたとも!」

…おかげでアリバイを取るのも、楽だったらしい。

いろんな意味で目立つからな、コイツ。

ちなみにアタシとコイツの通っている専門学校は、料理の専門学校。

アタシは和食、コイツは洋食。

他にもお菓子の専門科もある。

…なのにわざわざ、他国の肉料理を学んでいたのか。

本当に愛されているな、アタシ。

「でもボクが連絡しなかったせいで、ヒミカに迷惑をかけていたことは謝ります。すみません」

「良いのよ。アタシも勘違いしてたし。お互い様ってことで」

でも婚約者にさせられたんだから、アタシの方が大きなマイナスなような…。

「ふふっ。まさにケガの功名ですね」

そう言ってアタシの隣に移動してきて、ぎゅっと抱き締めてくる。

「結果オーライってことで」

「その前に」

ぐいっとキシの体を押した。

「事件の真相を突き止めないと…。マカに睨まれっぱなしなのは、いただけないわ」

「あっ、そうでしたね」

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