《MUMEI》 「でも確かに、ヒミカを誘っているようですね。コレを見てください」 そう言ってキシが地図を広げた。 「料理があった五ヶ所なんですけど…」 地図に赤ペンで丸を付けていく。 そしてあたしは、眉をひそめた。 「…コレって」 「ええ。間違いなく、あなたを誘っているんでしょうね」 料理が用意されていた公園、五ヶ所。 キシが丸を付けた、その中心部には…。 まるであたしのマンションを囲むようにして、起きていたことが分かる。 「…あたしへの挑戦状?」 「あるいは招待状でしょう」 ぎりっと歯噛みした。 「それにしても…」 赤ペンを置き、キシは真面目な顔になった。 「ボク以外の人間が、あなたの料理を用意するなんて許せませんね!」 …スルーすることにしよう。 「でも目的は? あたしの血族のことを知ってか、あるいは的外れか」 「う〜ん。…でもヒミカの血族の方、そうそう派手には動きませんよね? 恨みをかうこともないのでは?」 「フツーなら、ね。ただウチの血族に敵対している一族も存在する。でもそいつ等とも考えにくいのよね」 お互い、秘密な存在だ。 そうそう目立った行動はしない。…というか、できないハズだ。 前へ |次へ |
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