《MUMEI》 学校で「う〜ん。それにしても、随分と凝った料理を作っていますね、犯人は」 「うん?」 キシは料理の作品を見ながら、顔をしかめた。 「いえね。ボクもヒミカの為にいろいろと肉料理を学びましたが…。この料理のどれも、ボクが作ろうと思っていたものばかりなので」 アタシは横から写真を見た。 確かに。立派な料理だ。 「そうねぇ…。でも作られた料理、国籍バラバラね」 それこそイタリアンとか日本料理とかいろいろと。 「そうですね。それこそボクが考えていたメニューがそのまま出されているようなカンジです」 「…本当に犯人はアンタじゃないのよね?」 「だからボクでしたら、自分の手で作って、自分でアナタを招待して、食べてもらいますって」 …納得。 「でもこれだけの料理の腕を持っている人なんて、それこそ限られますね」 「個人で作れなくもないんじゃないの?」 「食べてみないことには何とも言えませんが…。料理の材料やスパイスなどは、専門家しか手に入れられないものもありますからね」 料理の写真をパラパラとめくりながら、キシは険しい顔をする。 「…どの料理もこだわろうと思うなら、それこそ専門家並みの知識と人脈、ネットワークがないと手に入れられないものばかりなのが気になりますね」 「……考えたくはないけど、ウチの学校関係者とか? 料理にこだわり過ぎて、猟奇殺人に?」 「ありえなくはないですね。と言うか、かなり良い線いっていると思いますよ?」 キシはテーブルに資料を置いて、アタシに向き直った。珍しく、真剣な表情で。 前へ |次へ |
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