《MUMEI》 命のキス「さて、と…」 私は誰もいない学校のプールサイドで、伸びをした。 そして始めるラジオ体操。 「イチニッ、イッチニッ!」 一人で虚しいとかは考えない。 …って言うか、考えてらんない。 夏休みになり、私の所属する水泳部は輪をかけて部活動に力を注ぐようになっていた。 私は1年生で、マネージャーをしていた。 けれど本当はカナヅチで、少しでも泳げるようになりたいからマネージャーになった。 部員ではみんなの足を引っ張るのは目に見えていたから…。 だからはじめての挨拶の時、そのことを言ったら、部員達は笑って受け入れてくれた。 そして部活の時、余裕があったら泳ぎを教えてくれるようになった。 優しい人達だ。 なのに私ときたら…。 思い起こすこと十日前…夏休みに入ってすぐの部活の時だった。 あの日は最初からプールに入れた。 もうすぐ大会だから、その日で教えるのは一時休止にしようと部長から言われていた。 だからはりきって泳いだのに…。 「はあ…」 溺れた。思いっきり。みんなの見ている前でっ! そして部長に救助されて…。 人口呼吸で息を吹き返した……。 つまり…。 「ファーストキスが、人口呼吸…」 次へ |
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