《MUMEI》

キシは被害者の調査書を手に取った。

「…共通点と言えば、全員がベジタリアンであったことと、若いこと…でしょうか」

「ベジタリアンって言うか…お肉が食べられないって人もいたみたい」

キシの背後に回り、アタシは被害者の写真を指差した。

「この女性はアレルギーでお肉全般が食べられなかったって。他のはまあ好みもあるんだろうけど、ほとんど肉が食べられなくて、野菜が主食だったって」

「まあ動物もそうですが、雑食よりはベジタリアンの肉の方が美味しいと評判ですからね」

キシは含み笑いで、アタシを見上げた。

「…何が言いたい?」

「いえ、別に。それにしても…六歳の男の子まで、ですか。少し胸が痛みますね」

「ああ…」


六歳の肉アレルギーの少年までも、犠牲者だ。

他の人も十代や、年上でも二十代前半だ。

「…肉料理で美味しいと言われているのが、ベジタリアンで若いものが良いと言われていますが…。まさにそれをなぞっていますね」

アタシは思わず、キシを後ろから抱き締めた。

キシは何も言わず、資料から目を離さずに、アタシの腕をさすってくれた。

「アナタを誘き出すにしても、筋を通し過ぎですね。気に入らないやり方です」

「アタシの正体が…バレてるの?」

「もしくは最初から知っているか、ですね。しかも事件はくしくもアナタとボクが付き合いだした後から始まっています」

そう言ってキシは資料を握り締めた。

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