《MUMEI》

「お邪魔しました! 生徒会のお仕事、頑張ってくださいね!」

帰ろうと踵を返すと、

「待ちなさい!」

いきなり手を握られた。

「えっ?」

彼は立ち上がっていた。

机越しにあたしを捕まえたまま、顔を伏せたままだ。

「…あなたの本気、確かに感じました」

「はっはい」

「あなたのような女性は、はじめてです」

「はい…」

もしかして、嵐のごとく罵倒されるのだろうか?

出来ればこのまま帰してほしい。

思わず逃げ腰になる。

「明日から…覚悟してくださいね」

「えっ」

いっ嫌がらせの日々はカンベンしてほしい…。

しかし顔を上げた彼は、眼に光を宿していた。

ぞっとするほど、本気の光を。

「ボクの本気、あなたに感じてもらいますから」

「えっ、えっ?」

ほっ本気の嫌がらせはちょっとなぁ…。

「あなたが悪いんですからね。ボクを本気にさせたあなたが」

手を引かれ、伸ばされた彼のもう片方の手があたしの頭を掴み、そのままキス―された。

「―離しませんよ、一生」




コレって…本末転倒!?

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