《MUMEI》
天然のキス
私の幼馴染は天然だ。

家が隣同士で母親達が仲が良かったので、私達は幼い頃から一緒にいた。

一つ年下の男の子。

可愛くて、ふわふわした感じがとても好き…だった。

過去形の理由は、学校に入ってからだ。

小学校に上がって中々一緒にいられなくなったせいか、アイツはしょっちゅう行方不明になった。

そのたびに周りは大騒ぎ。

だから私は出来るだけアイツと一緒にいることを、周りから言われた。

仕方なく一緒にいて…私はもう高校一年、アイツは中学三年になっていた。

「ウチの高校に? 何で?」

「だってキミと一緒にいられるから」

アイツがへらっと笑えば、周囲にお花が見えそう。

…けれど十年の付き合いになる私には効果無い。

「アンタねぇ…。ウチの高校って結構レベル高いのよ? 今から頑張っても厳しいんだから、他のにしなさいよ」

私の部屋で、二人っきり。

会話はアイツの高校受験のこと。

テーブルに高校の資料を広げて見せる。

「あっ、この高校、男子校だけどウチから近いじゃん。レベルもアンタなら平気みたいだし、ここに…」

「ヤダ」

「じっじゃあ、ここは? ちょっと離れてるけど、私立だし悪くないわよ?」

「ヤダ」

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