《MUMEI》

うぐぐっ…!

振り解きたかったケド、一年ぶりのアイツの手が予想より大きくて、何となく離れたがった。

「…でも良く頑張ったわね。そこは褒めてあげる」

「ありがと。そりゃ努力したもの。キミとまた一緒にいる為に」

「……いい加減、幼馴染離れしたら? アンタ、もてるんだし、そろそろ彼女の一人でも…」

「えっ? ボク達、付き合ってるんじゃないの?」

………。

「はい?」

突然何を言い出すんだ、このお坊ちゃんは。

「だっていっつも一緒だしぃ。一緒にいるとドキドキするし」

「…私は別の意味でドキドキするけどね」

いろんな意味で心臓に悪いんだ、コイツ。


「じゃ、改めまして」

ぐいっと手を引かれ、顔が間近に迫る。

そしてそのまま、軽くキスされる。

「〜〜〜っ!」

「―キミのことが好きだよ。未来永劫、ずっと一緒にいたい」

「なっなぁっ!」

言うこととやることが逆だろっ!

言いたくても頭に血が上って、うまく口が回らない。

「キミだってボクと一緒で、そう悪くは無いと思ってるデショ?」

…そりゃイヤだったら、とっくに見捨ててるケド。

「それって愛情があるって証拠だよね?」

そりゃキライではないケド。

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