《MUMEI》

「じゃあボクとずっと一緒にいても、良いよね?」

………人が黙っているのをいいことに、言いたい放題言いやがって。

でも何一つ否定できない自分がいる。

それってやっぱり…。

「…でも私、アンタの面倒見続ける人生なんてイヤよ」

精一杯の強がりで言ってみた。

「うん、もちろん身の回りの世話はボクがするよ」

うん? それって…。

「だからキミは外で好きなだけ働いて良いよ。ボクはずっと家でキミを待つから」

専業主夫宣言!?

「アンタっ! 私に養ってもらう気なの?」

「だってキミの方が出世しそうだし、ボクは働く気無いし」

ハッキリ言いやがったぁ!


「キミだってその方が良いでしょ? 家でボクが待っていると思えば、頑張って働けるよね」

確かに…。

「キミって身の回りのことはズボラだし、ボクは家事のことが得意だし。相性ピッタリ♪」

「ケンカ売っているようにしか聞こえないわ!」

「え〜心外だなぁ」

天使のような笑顔で、悪魔の毒舌を言いやがって!

「でも、絶対にボクはキミを離さないから」

握る手に力が込められた。

「ボクから離れようとしても、絶対に追いかける」

「…まるでストーカーね」

「愛の成せることだよ。勉強も、ね」

反論できないのが、悲しい。

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