《MUMEI》

バタ子の当初の目論見では、バイキン組との交渉に臨むうえで、それは切札となる筈であった。



しかし不幸なことに、バタ子の協力者……おむすびマンは、ジャム食品からバイキン組に監視依頼があった男と同一人物だった。



既に おむすびマンはバイキン組にも面が割れていたのだ。



そうとは知らず、バタ子はバイキンマンとの交渉の場で、自らの協力者の存在を臭わせてしまった。



そうなれば、バイキンマンが持ち前の鋭い嗅覚で、協力者の正体を割り出し、女の切札を押さえるのは簡単なことだった。



あとは、女を持ち駒として使うもよし…



熟れきった肉体を性欲の捌け口として弄ぶのもよし…。



最後のカードを封じられたバタ子は、目的を果たした後に、逃避行を画策するしか無かった。



パートナーである、おむすびマンを見殺しにして――…。

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