《MUMEI》
昼休みに
.




「いや〜!ケッサクだね!!」





−−−昼休み。


学食前の中庭に設えられたベンチで、購買で買った焼きそばパンを片手に、幼なじみの【羽柴 由紀】が、わたしの話を聞いて、大笑いしていた。

いつまでも笑い転げている由紀を、わたしは半眼で睨んだ。


「そんなに笑うことないでしょ」


ふて腐れて言うと、由紀は、だってさ〜、と笑いを必死に堪えて言った。


「清水、ちょーかわいそう!彼女だと思ってたオンナにそんなこと言われて。同情しちゃう〜」


そうして、また吹き出して笑う。口では『かわいそう』と言いながら、ホントはバカにしているのだ。

幼なじみの反応に、わたしはむくれた。


「そんなの、清水君が勝手に誤解して、勝手に自爆しただけじゃん」


自業自得です!ときっぱり言ってやると、由紀は笑い疲れたのか、大きく息をついた。そしておもむろに、なにやら指折り数え始める。


「1組の後藤に松井だろ、2組の長島、それから卒業した澤田先輩と、あとサッカー部のヤツ…」


清水も入れて6人目か…、とひとりで呟いて、再びパンをかじった。

今、由紀が名前をあげた人物は、わたしに告って玉砕した人達だ。

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