《MUMEI》

5階から7階までは、普通の教室になっている。

5階がアタシの選択コースである、和食専用教室。

6階はキシの洋食コースの教室。

そして7階はデザートコースの教室。

アタシとキシは、6階の洋食コースの教室に来ていた。

6階のフロアを出ると、教室数が3つあり、キシな真ん中の教室に入った。

さすがに知り合いが多いらしく、声をよくかけられる。

キシは笑顔で答えながら、一人の青年の所へ向かった。

「おはようございます。カイト」

「んっ? ああ、おはようさん。キシ」

爽やかなイケメンが、キシを見て笑顔になった。

妖艶な雰囲気を持つキシとは、正反対のタイプだな。


「おっ、キミがウワサのヒミカさん?」

「えっええ、そうだけど…」

彼はアタシを見ると、興味津々といった感じになった。

「キシからよく聞いているよ。とうとう落ちちゃったんだって?」

…何かもう怒りを通り越して、力が抜けてきた。

「カイト、ヒミカは恥ずかしがり屋ですから」

「っ!?」

「ああ、そうだったな。でも本当に付き合い始めるとはなぁ。キシが言うのを聞いてると、コイツがただストーカーしてるだけかと思ってたんだけど」

まさにそうです!

「違いますよ。ボクとヒミカは結ばれる運命なんですから」

そう言って、肩を引き寄せてきたキシを、殴り飛ばしたい…!

「ははっ。見せつけるなよ」

しかしカイトは爽やかな笑顔で返す…。

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