《MUMEI》 「ところでカイト、この前教えていただいた料理教室のことですけどね」 「ああ、オレの兄貴が教えているヤツ?」 「はい。ヒミカも興味を持ちましてね。もう一度説明をお願いしてもいいですか?」 「ああ、いいぜ」 カイトはカバンから一枚のチラシを出して、アタシに差し出した。 「オレの兄貴、普段はホテルでイタリアンの料理長をしてるんだけど、ここの教室借りて、土・日に料理教室を開いてるんだ」 「ここの教室で?」 そんなことまで、この学校はやってるのか。 「ああ、何せここの卒業生だし」 …スゴク納得。 「昔から肉料理が得意でね。肉料理中心に教えてるんだ。ヒミカさん、肉料理が好きなんだって?」 ぎゅむっ★ キシの足を踏むも、ヘラヘラし続けている。 「土・日どっちでもOKだから。キシと一緒に参加してみてよ」 「あっ、どうも」 チラシを受け取り、アタシとキシは教室を出た。 「…随分、彼には打ち解けているのね」 「妬かないでくださいよ。ボクにはアナタだけなんですから」 「違うっつーの」 コイツは親友と恋人の境界線が無いのか。 「で、次で最後なんでしょ? どこに行くのよ?」 「屋上ですよ」 「屋上?」 前へ |次へ |
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