《MUMEI》
結末へ向けて、動き出す真実
ちなみにキシに儀式を見られたのは、この屋上の給水塔の上だった。

この建物の一番上。だから気を抜いてしまっていた。

ジッと見ていると、キシも見上げた。

「思い出の場所ですよねぇ…」

「忌まわしい思い出の、ね」

トゲトゲしく言うも、キシは笑うだけ。

「…それで? 犯人は分かったの?」

「ええ、もちろん」

「うっそ?!」

…実は半信半疑だった。

「まあ…大体は予想通りと言ったところでしょうか。後は証拠を見つけて、自白させるだけですね」

「…できるの?」

「ボク等の為ならば。それにきっと、犯人も見つけてほしいと思っていますよ」

そう言ってキシはアタシを見て、にっこり微笑んだ。

「なのでボクは証拠を見つけてきます。ヒミカはここで待っていてくれませんか?」

「えっ! ここで? アタシも行くわよ!」

「ダメです、危険過ぎます。犯人はアナタの正体を知っているかもしれないんですよ?」

「それだったらキシだって…」

「ボクは独自のルートがありますから、大丈夫です」

…確かにコイツ、そのルートでウチの血族のこと、知ったんだったな。

「だから大人しく、ここで待っててくださいね?」

「…早く帰って来る?」

「陽が沈むまでは、必ず」

そう自身ありげにキシが言ったので、アタシは頷くしかできなかった。

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