《MUMEI》

「だっだってお前…、何か物欲しそうな顔してたから…」

脇腹を押さえ、ベッドの上で悶絶しているアイツの姿を見て、アタシはあんぐり口を開けた。

…もしかして、さっきので?

「〜〜〜っ! だからって、いきなり押し倒してキスはないでしょ!?」

「んなこと言ったって、高校生ってすぐにこーゆーことするんだろ?」

……どっから仕入れた情報だ?

「それにさ…」

アイツはふと真面目な顔になって、ベッドに座り直した。

「…お前、可愛いから、奪われちゃイヤだからさ」

「はい?」


なっ何か今、いつものコイツからは考えられない言葉が出た。

「だからっ! 他の男になんか目移りするなよ!」

真っ赤な顔で、指をさしてきた。

「だっ誰がよ! アタシが好きなのはアンタだけよ!」

「オレだって、お前が好きなんだよ!」

「うっ…」

まっ真正面から言われると、心臓に来る…。

「そっそれに恋人なら、キスしたっておかしくないだろ?」

「そっそれはそうだけど…」

何か違う…。

でも、好きだって言われたのは嬉しい。

本当に嬉しいっ…!

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