《MUMEI》
ライバルとのキス
「貴女が好きです」

「………えっ?」

「好きなんですよ、貴女が」

そんな睨み付けながら言わなくても…。

目の前にいるのは同じクラスで、同じクラス委員で、男女の関係を飛び越えたライバル…だと思っていた男。

…なのにいきなり飛び戻って来た。男女の関係に。

「あっあのね? いきなりどうしたの?」

「本当にどうしたんでしょうね。俺としたことが、何でよりにもよって、貴女に恋なんてしたんでしょう」

…それはコッチが聞きたい。

と言うか、コレは告白なの?

全然甘くも無いし、トキメキも無いんだけど。

整った顔立ちで睨まれると、逆に怖い…。

「でもまあ良く考えれば、貴女ほど可愛い女性はいませんし、優秀な人もいません。俺に匹敵するぐらい成績優秀なのは認めていますし。ああ、人望もありますね」

…それって後半、自我自尊?

「なので俺は貴女が好きなんです」

「…とても正気とは思えない告白ね」

「ええ、恋は病ですから」

あっさり言い返された…。

でもまあ確かに。

自分を褒めるワケじゃないけど、コイツほど優秀な人物は知らないし、私はそんなコイツとライバル関係にあった。

お互いの優秀ぶりはイヤってほど知り尽くしているワケだけど…。

それで何で愛の告白?

やっぱりどこか、納得いかない。

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