《MUMEI》

「ねえ、告白したってことは、私と付き合いたいワケ? それで将来は結婚?」

「ええ、俺はそれを願っています」

…マジ?

しかしコイツの顔は真剣そのもの。

と言うことは………私も真面目に答えなくてはいけない。

今の私の状況、フリー。

コイツと付き合うこと、…別に悪い気はしない。

だけど…。

「付き合うのは良いんだけど…。まだアンタに恋愛感情持っていないわよ」

「別に構いませんよ。貴女を好きにさせる自信、ありますから」

ハッキリ言って、自信ありげな笑顔を浮かべる。

「大体貴女につり合う男なんて、俺ぐらいなものですよ。貴女だって、他の男なんて物足りなく感じていますでしょう?」

「…まあ、そうだけど」

過去に何人か告白された。

でも…コイツと比べてしまい、断り続けてきた。

…アレ? それってつまり…恋愛に関して、いつもコイツが私の中にいたってコト?

……それはつまり、とうに私はコイツのことを…。

「どうしました?」

ジッと見ていたせいで、逆に見つめ返された。

「…気付きたくないことに気付いただけ」

告白してきたコイツの顔を、今は私がしているだろう。

シャクだ…。とってもシャク。コイツの気持ちが本当に分かる。

だから…私はキスをした。

私から、キス。

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