《MUMEI》

「可愛いわよ」

「可愛いってねぇ…」

彼氏はため息をついて、紅葉に手を伸ばしてきた…かと思ったら、わたしの手ごと掴んで…。

「んっ…!」

いきなり…キスしてきた。

熱い唇から、熱が一気にわたしに移る。

一瞬にして、体が熱くなった。

「なっ…」

すぐに唇は離れたけれど、熱は唇に宿ったまま…。

「…お前の顔も、真っ赤だ」

「あっ当たり前でしょ!? …熱が移ったんだから」

そう言ってわたしは彼氏の胸に倒れ込んだ。

「おっおい! 大丈夫か?」


「も…死にそうよ」

心臓がありえないぐらい、バクバク高鳴っている。

キスをするのは何も今日がはじめてじゃない。

でも…今日みたいに、彼氏の方からこんなキスははじめて…。

「ごっごめん。でもキスしたくなったからさ。あんまり可愛かったから…」

…嬉しい。

やっぱり彼氏の声で言われると、とても嬉しい!

「うん…! ありがと」

「えっ、何でお礼…」

「もちろん、嬉しかったからよ」

わたしは顔を上げて、背伸びをして、彼氏にキスをした。

「…えっ、ええっ!」

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