《MUMEI》
変人集団
.

わたしはふたりの男を眺めて、フンと鼻を鳴らす。


「晃がしつこいからよ」


可愛いげなく言ってのけると、晃はシクシク泣き出した。そんなクラスメートを見て由紀は、あーあー、とため息をつく。


「仁菜が泣かした〜、かわいそ〜」


由紀のからかう声に、わたしはまたフン!と鼻を鳴らすのだった。



ベンチで繰り広げられたわたし達の会話を、他のクラスの女子達が遠巻きに見ていたことに気づいた。

彼女達はわたし達を見つめ、ヒソヒソとなにやら囁き合っていたかと思うと、時折、バカにしたように笑っている。


「アレ、見てよ〜」


「あぁ、噂の『変人集団』ね」


「見ちゃダメ!変態がうつるって〜!」


「行こ、行こ!」


キャハハッと耳障りな笑い声をあげ、彼女達はどこかへ走り去って行った。



…………聞こえてるっつーの。



彼女達の後ろ姿を見送りながら、わたしは毒づいた。


−−−そうなのだ。


わたし達…わたしと由紀、そして晃は、この学校でも有名な『変人』だった。


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