《MUMEI》 綾音と別れてからも、私はまだ駅前をうろうろしていた。 もちろん…男の人があまりいない場所で。 時折見かけるラブラブなカップルを見ると、自然と成田のことが思い出される。 その度に自分は成田のことが好きなんだと自覚させられる。 でも、成田のどこが好きなのか…自分には分からない。 それにたとえ成田と付き合うことになったとしても、カップルがするようなことができるなんてことはあり得ない。 …お互い異性が嫌いなのだから。 そんなことを思っていると、メールが来た。 成田からだった。 グットタイミングのような、そうじゃないような… 噂をすればうんたらっていうとこか。 『時間あれば俺のバイト先のあたりまで来てくれないか?』 という文面が書かれている画面を見ながら、私は頬を赤く染める。 しかし、成田のバイト先はラーメン屋だ。 男がうじゃうじゃいるのにどうしろっていうわけ? 私は考え込む。 てか、あいつサッカー部のくせに練習ないんだろうか …とか馬鹿なことを考えながら… 前へ |次へ |
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