《MUMEI》
突然の出会い
.

わたしは、彼らの後ろ姿を眺め、

深々とため息をついた。





−−−そのときだった。





突然、わたしが歩いている歩道の脇に、
一台のタクシーが、勢いよく滑り込んできた。


わたしはビックリして立ち止まり、ついタクシーに注目してしまう。


タクシーは喧しいブレーキの音を鳴らしながら、わたしのすぐ近くで停車し、

後部座席の自動ドアが、開いた。



そこから軽やかに降り立った、

ひとりの、男−−−。



黒い、ノーカラーのレザージャケットに、中には真っ白なTシャツ。足の長さを強調するような、ピッタリのスキニーデニム。足元はカジュアルなスニーカー。

髪の毛は、きれいなキャラメルブラウンにカラーリングされていて、すっきりとした顔のラインを隠すような、大きいレンズのサングラスをかけている。

身長は、わたしよりも少し高く、細身だがしっかりとした身体つきをしていた。



−−−イマドキの、オシャレメンズ君。



それが、『彼』の第一印象だった。



.

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