《MUMEI》
朝
よく晴れた朝だった。
「おはよう」
いつもと変わらない風景。
食卓には僕の分だけの朝食が用意されている。
「お父さん、今日は早番なんですって」
今日は?
いつものことじゃないか。
僕は皿の上のパンをかじった。
きっとニュースになっている。
夕べ、あの窓硝子の向こうで起きた事件。
ナイフは心臓を一突きだった。
僕はそのことが気になって仕方がなかった。
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