《MUMEI》 元気のミナモト. ひどく虫の居所が悪いわたしに怯えた晃は、わたしと由紀の顔を交互に眺めてオロオロしていたが、そのうち、なにかを思い付いたように、パッと顔を明るくさせる。 彼は両手で抱えていた雑誌をわたしに差し出しながら、爽やかな笑顔を浮かべた。 「コレ読んで、機嫌直して!!」 明るい晃の声に、わたしはチラリと、差し出された雑誌に目をやる。 それは、若者向けのメンズファッション誌だった。 ………てか、 なんでメンズ雑誌? わたしは瞬きを数回して、それから顔をあげ、ほほ笑んでいる晃を睨む。 「…なに、コレ」 低い声で尋ねると、晃は少し怯えつつも、あ、あのね!とどもりながら、慌ててパラパラと雑誌をめくりだす。 「今月号のインタビューがね、『LE FOU』でね!すっごいカッコイイんだぁ〜!!」 絶対癒されるよ!と自信ありげに言い切った。 ………? 『ル・フー』?? 「なにそれ?」 聞き慣れない言葉が出てきたので、わたしが尋ね返すと、 晃は衝撃を受けたようだった。 . 前へ |次へ |
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