《MUMEI》 陰気な雰囲気を醸し出している。 眼球を動かしながらこちらを観察していた。 「頭が痛いよ、二郎君。」 篠さんがのほほんとした人だったせいか、次のマネージャーは生真面目に見えた。 「黙っていたことはごめんなさい。でも、近いうちに伝えるつもりでした。」 強気に構えていながらテーブルの下では二郎はしっかり俺の手を捕まえててくれて、なんだかにやつきそうになる。 「騙されてない?彼って暴力とか振るうんでしょ?」 失礼だ、こいつ!本人の前でよく言えるな! 「七生はそういうんじゃなくて……あのっ……愛情表現が大袈裟なもので……、夢中になると見えなくなるというか、あの時は俺も精神的に滅入ってしまってて互いに行き違ってて……」 おい、フォローの言葉を探しながら迷走してないか? 「DVはまだ見てない。」 律斗のフォローには悪意がある。 「二郎君、考えてみて。 彼と居ることが損得感情で言うと良いのかな。俺は彼みたいな人間は上手くいかないと知っているけど……このまま話しても同じだから、今日はここまでにしようか。お邪魔しました。」 マネージャーは席を外し帰って行く。 「待って下さい、俺は七生が居ることで損なんかしてません。頭ごなしに否定しないで下さい……、貴方こそ考えてみてもらえませんか?七生と居るから今の俺が在るんです。」 二郎……、その後ろ姿に惚れる。 前へ |次へ |
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