《MUMEI》

すぐに沖がボールを持ち、


センターラインへ。


「ピッ!!」


審判の笛が鳴る。


「1本…」


椎名がボールを回そうとするも、


海南の戻りが早い。


リスタートを仕掛けた赤高であったが、


ここで海南の戻りが一手上回る。


海南のディフェンスにより、


セットプレーを強要される。


しかも、


ディフェンスは高め。


ロングは打てない。


この状況に、


赤高は少なからず動揺する。


(ここで離されるわけには行かね〜ぞ…)


確実に1本。


どの場面でもそれを考える物だが、


こんな場面ではそれをより強く感じさせられる。


そしてそれは、













「バカッ…!!」













注意力。


最も失ってはならない物をプレイヤーから奪う。










「バシッ…!!」













椎名のパスを、


未來がカット。


「こっちだ!!」


ボールは千葉に渡り、


千葉はシュートへ。


(…来い。)


キーパー勝負。


時計は10分を切ろうとしていた。

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