《MUMEI》 「また…3点差…」 肩を落としたように千秋がそう言った。 「ふぅ…」 クロは1つため息をつく。 「大していいコースでもなかった。 勝敗を分けたのは気持ち。 千葉の気迫が村木を上回ってたんだ。」 「気迫…」 「ほんで、 あいつらも意気消沈。 千秋。 お前も含めてね。」 「…」 「技術で負けて、 気持ちでも負けたらどうしようもない。」 「…」 「だから僕は、」 「…?」 「あいつらの息を吹き返す。」 「え…?」 クロは腰を上げ、 大きく息を吸い込んだ。 … (やべぇなこの点差… 村木さんからも普通に点取ってくる。 これが2強… エースの底力か…) クロが言った通り、 赤高の選手たちからは諦めのムードが漂っていた。 意気消沈。 まさにその通りである。 本来なら仕掛けるべきリスタートも、 この時の赤高にはそれが出来なかった。 静まる体育館。 しかし… 「椎名ぁぁぁぁッ!!」 クロの声が体育館に響き、 選手たちは思わずクロを見る。 「よく我慢したッ!! 行けッ!! マッハクロスだッ!!」 前へ |次へ |
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