《MUMEI》

「きたぁぁぁぁぁぁッ!!!」


赤高ベンチは総立ちである。


まだ同点であるとはいえ、


流れを考えると4分あれば十分逆転できる展開である。


さらに、


赤高新戦術。


マッハクロスが止まらない。


マッハクロス。


クロが考えたこの作戦は、


作戦という作戦ではない。


決められた内容のない戦術。


それがマッハクロスである。


決まっているのは最初の一手。


センターから45へパス。


その瞬間にクロスをするということだけだ。


手と足を休めずにひたすら動く。


その中で各々がチャンスを見つけ切り込む。


実質的には9割以上が選手たちのアドリブである。


が、


赤高にとってはそれも可能な話。


ボール鬼を通し、


似たような練習は昔からやってきていた。


ハーフコートで機動力を活かす戦略。


それがクロの考えた戦術。


マッハクロスである。

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