《MUMEI》

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わたしが由紀を見ると、彼は肩をすくめた。


「とりあえず、席着けよ。そーいうのは、あとにしよーぜ」


わたしはまだまだ怒りがおさまらないものの、今の、このクラスの状況を考えたら、一旦引き下がった方がいいのかもしれないと思った。

クラスの誰ひとりとして、わたしの味方につくようなひとは、いなかったからだ。

どんなに喚いても、誰もわたしを信用しないだろう。

こっちの立場が、もっと悪くなるだけ。

渋々、わたしは椅子に座った。


担任はわたしがおとなしく席に着いたのを確認してから、廉に向き直る。


「それじゃ、北條はあっちの席に座って」


廊下側の一番後ろの空席を指さして担任が指示を出すと、廉は軽く会釈し、静かに席に着いた。

さっそく周りの席の女子たちが、満面の笑顔で廉に話しかけている。あからさまな媚びの売り方に、吐き気がする。



………やっっすい女どもが!!



心の中で毒づいたとき、

耳障りな予鈴が、鳴り響いた。





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