《MUMEI》 . わたしが由紀を見ると、彼は肩をすくめた。 「とりあえず、席着けよ。そーいうのは、あとにしよーぜ」 わたしはまだまだ怒りがおさまらないものの、今の、このクラスの状況を考えたら、一旦引き下がった方がいいのかもしれないと思った。 クラスの誰ひとりとして、わたしの味方につくようなひとは、いなかったからだ。 どんなに喚いても、誰もわたしを信用しないだろう。 こっちの立場が、もっと悪くなるだけ。 渋々、わたしは椅子に座った。 担任はわたしがおとなしく席に着いたのを確認してから、廉に向き直る。 「それじゃ、北條はあっちの席に座って」 廊下側の一番後ろの空席を指さして担任が指示を出すと、廉は軽く会釈し、静かに席に着いた。 さっそく周りの席の女子たちが、満面の笑顔で廉に話しかけている。あからさまな媚びの売り方に、吐き気がする。 ………やっっすい女どもが!! 心の中で毒づいたとき、 耳障りな予鈴が、鳴り響いた。 ****** 前へ |次へ |
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