《MUMEI》
アルゴンとエアー
クーが出勤してから帰宅するまで。


なんなんだよー、こいつは!!


アルゴンはそればかりを心の中で叫び続けていた。


三回に一度位は口に出していたらしく、その度にエアーは小さく震えたが


鈍感なアルゴンはその小さな変化に気付かなかった。


そんな二人の距離は


心の距離は遠かったが、体は意外と近かった。


というのも、何故かエアーがアルゴンの近くに来るのだ。


特に、ため息をついた時に。


くそ、嫌味か!?


しかも、ため息をついたアルゴンの向かい側に来たエアーは


何故か、そのため息を吸い込むように


大きく、深呼吸するのだ。


そして、エアーは相変わらずアルゴンが作る食事には一切手を出さず、水だけを口にしていた。


後は、『掃除の邪魔になるから、どいて、…くだ、さい』と、アルゴンが言うと


ずっと、窓側に立ち、日の光を浴びていた。


無表情でピクリとも動かぬその姿は、日光浴を楽しむようにはとても見えず


アルゴンは、不気味に思っていた。


早く帰ってきてくれ、クー!


寝起き最悪のネオンを起こせないアルゴンは、ただひたすら、クーの帰りを待っていた。

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