《MUMEI》
渡る世間は敵ばかり也…
.


「マジでキレイな顔してるよねー!!」


「背、高いね!!公式プロフィール通り!?」


「一緒に写メ撮っていい??友達に自慢する〜!」


「ずる〜い!!わたしもッ!!」


「ちょっと、押さないでよッ!!」


休み時間毎に繰り返される、廉を取り囲む女子たちの興奮した声に、わたしは心底うんざりしていた。



………みんな目の色変えちゃってさ、

バッカみたい!



「ブラウン管の向こうで、歌って踊ってるヤツってだけでしょ?」


冷めた調子で毒づいたわたしに、由紀と晃が呆れたように言う。


「『ブラウン管』て、古いよ…」


「そーだぞ。今は地デジだ」


どうでもいいことを訂正してくる彼らに、わたしは、うっさい!!と怒鳴った。

わたしの剣幕に晃は涙目になり、由紀は肩をすくめる。

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