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《MUMEI》 . それから由紀が、でもさーと、ぽつんと呟いた。 「イマイチ信じられないなー。あの【レン】が女の子に暴言吐くなんて」 彼は横目で廉を眺めた。わたしもその視線を追う。 廉は始終穏やかな仕種で、女子たちの喧しい質問に答えていた。 必殺『アイドルスマイル』をたずさえて。 ウソくさいほほ笑みを見て、わたしは感じ悪く鼻を鳴らす。 「間違いなく言ったわ！わたしにいきなり、『どブス！！』って」 肩を怒らせているわたしに、今度は晃が、え〜？と首を傾げる。 「仁菜の勘違いじゃないの？本人だって、『なんのこと？』って言ってたじゃない」 廉の肩を持つ晃に、わたしはギロリと睨みつける。 「…何度も言わせないでよ」 押し殺すような低い声で唸ると、晃はビクリと肩を揺らした。険悪な空気になったわたしたちに、由紀が呑気な声で、どうどう！と馬をなだめるときみたいに声をあげた。 . 前へ |次へ |
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