《MUMEI》

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由紀はわたしの顔を見て、さっぱりと言う。


「とにかく、本人も知らねーって言ってんだし、これ以上難癖つけんの、やめといたら?」


テキトーな言い方で呟いた由紀に、わたしは身を乗り出して、眉をつりあげた。


「冗談じゃないわよ!!悪いのは向こうだよッ!?」


大声でわめいたわたしに、由紀はため息をつく。

そうして、見てみろよ、と教室のドアの方へわたしの視線を促した。わたしは素直にドアを見る。


そして、驚いた。


教室のドアの脇から、ジッと暗い視線をこちらへ向けているひとがいた。



………あれは、



「清水君…?」



紛れも無く、この前フッた、隣のクラスの清水君だった。
彼は恨めしそうにわたしを見つめ、その表情は怒りに満ちている。


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