《MUMEI》 . 由紀はわたしの顔を見て、さっぱりと言う。 「とにかく、本人も知らねーって言ってんだし、これ以上難癖つけんの、やめといたら?」 テキトーな言い方で呟いた由紀に、わたしは身を乗り出して、眉をつりあげた。 「冗談じゃないわよ!!悪いのは向こうだよッ!?」 大声でわめいたわたしに、由紀はため息をつく。 そうして、見てみろよ、と教室のドアの方へわたしの視線を促した。わたしは素直にドアを見る。 そして、驚いた。 教室のドアの脇から、ジッと暗い視線をこちらへ向けているひとがいた。 ………あれは、 「清水君…?」 紛れも無く、この前フッた、隣のクラスの清水君だった。 彼は恨めしそうにわたしを見つめ、その表情は怒りに満ちている。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |