《MUMEI》 . ひと通り考えをまとめ、わたしは、分かったよ…と呟いた。ようやく納得したわたしを見て、由紀はホッとしたようにため息をつく。 わたしは再び、ドアの方を見た。いつの間にか、清水君の姿は消えていた。 −−−アイツは仁菜を恨んでる。 由紀に言われた言葉を思い出して、少し、背筋が寒くなる。 ………なんで、そーなんのよ。 どうして、わたしばっかり。 鬱屈とした思いをひとり抱えているわたしに、 最後に、由紀が、 「【レン】に言われたことは、忘れろよ。犬に噛まれたと思ってさ」 大人びた口調で、そう諭した。 その言葉を噛み締めているわたしの耳に、 少し離れた廉の席から、女子たちの楽しそうな笑い声が聞こえてきた。 ****** 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |