《MUMEI》 . 心優しい晃に、わたしは笑顔を見せる。 「いいよ、由紀に手伝ってもらうからさ!」 ね、由紀!!と明るい声で呼びかけると、 当の由紀は携帯で誰かと電話していた。 「今、終わったからさ〜!すぐ行くから待っててね〜!!」 早々と電話を切ると、由紀は満面の笑顔をわたしに向けて、つーことで!と爽やかに言った。 「ゴメンな、仁菜!カワイイ女の子が俺を待ってるんで!」 ぽかんとしているわたしに、由紀は、お先☆とウインクすると、ものすごい勢いで教室から走り去っていった。 …。 ……。 ………あんの野郎ッ!! わたしはドアまで走っていき、すでに由紀の姿が見えなくなった廊下で、 「てめェのブツ、使いモンにならねーように、根こそぎ引きちぎってやろーかッ!!」 と、あらんかぎりの大声で叫んだ。 . 前へ |次へ |
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