《MUMEI》 . わたしは半眼で睨みながら、全然!と答えた。 「この花壇、雑草だらけなんだもん」 文句をいいながら、ちょうど掴んでいた草を晃に見せると、晃は眉をひそめた。 「…それ、雑草じゃないよ。お花だよ」 蕾ついてるじゃん…と呟いた。 わたしは一度、抜き取った草を眺め、蕾を確認すると、なにも答えず、ポイッとゴミ袋の中にほうり込んだ。捨ててしまえば分からないだろう。 わたしの様子を見て、晃は呆れたような顔をした。 「なんで、そうガサツなの〜?」 晃のぼやきを無視して、わたしは、…で?と尋ねる。 「晃はここでなにしてんの?」 わたしの問い掛けに、晃は首を傾げた。 「言ったじゃん。今日、部活だって。ここ、調理室だよ」 室内を指さしながら、笑って答える。 言われてみたら、なにやら美味しそうな匂いもした。 . 前へ |次へ |
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