《MUMEI》 . ………ゲッ! 嫌なモン見ちゃったよ。 わたしがあからさまに嫌な顔をしているというのにも関わらず、 あろうことか晃は、興奮した様子で、北條君ッ!!と呼びかけた。 廉はフッと視線をこちらへ向け、少し戸惑ったような顔をした。 ………ヤベッ!! こっち見たッ! わたしは反射的に顔を俯かせる。 晃はお構いなしに、さらに廉に話しかけた。 「クッキー焼いたんだ!!食べない!?」 そう叫ぶが早いか、晃はさっきまでわたしに手渡そうとしていたクッキー入りのビニール袋を、ブンブン振り回す。 ………えっ!? そのクッキー、わたしのじゃないのッ!? わたしはたまげて晃を見たが、彼はわたしのことなどすでに眼中にないようで、熱い視線を廉に向けている。 そこで、思い出した。 晃が『LE FOU』の、しかも【レン】のファンだということに。 . 前へ |次へ |
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