《MUMEI》

.

廉は戸惑いながらも、ゆっくりわたしたちのもとへ近づいてくる。



………ヤダヤダヤダッ!!

頼むから、こっち来んなッ!!



しかし、わたしの必死の祈りも虚しく、廉は爽やかな笑顔を浮かべて、花壇のところまでやって来て、晃を見上げる。


「クッキーって、なに?美味しそうな匂いがするけど…」


尋ねた廉に、晃は興奮した様子で答える。


「今日、部活で焼いたんだけど!あッ!!俺、料理部なんだけどねッ!!よかったら、食べてみない!?」


ハイッ!!と、一息にまくし立てて、晃は廉にわたしが貰うはずだった、焼きたてクッキーの袋を強引に渡す。

廉は袋を受け取ると、晃に向かって、


「ありがとう」


と、爽やかにお礼を言って、ニッコリした。


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫