《MUMEI》

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晃ははしゃいだ声で、そうなんだぁ〜!と深々と頷き返す。


「なんか分からないコトがあったら聞いてね!あッ!俺、直江 晃!!よろしくねッ!?」


廉の手を強引に取り、激しく握手をした。廉は爽やかな笑顔を崩さぬまま、その握手に答え、よろしく、と返した。


「それじゃ、俺、行くね」


クッキーありがとう、と廉はにこやかに言い、わたしのクッキーを抱えて、花壇から離れていった。

その間、晃はもちろんだが、廉も、わたしのことを一切見ようとしなかった。

まるで、そこにわたしが存在していないかのように。



…。

……。

………。



廉がいなくなってから、わたしは晃を睨んだ。

晃はまだ夢を見ているような目をして、ぼんやりとしていた。


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