《MUMEI》

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わたしはイライラしながら、ク ッ キ ー !!と、一言ずつ区切るように言う。


「わたしにくれるって言ったじゃん!?なんでアイツにあげちゃうのよッ!!」


怒鳴りつけると、晃は気のない声で、あぁ…と曖昧に唸る。

それからかわいらしく首を傾げて、答えた。


「ゴメンね〜。まさか、北條君が通り掛かるなんて思わなかったから〜」


晃の言い訳に、わたしはフン!と鼻を鳴らす。そして、彼の目前に、ズイッと手を差し出した。


「わたしにも、早くちょうだい。お腹空いた」


そう言うと、なぜか晃は困った顔をした。一瞬、嫌な予感が胸の中をよぎる。

晃はしばらく考え込むようにして、

突然、わたしに頭を下げた。


「ゴメン!!もう、余ってないんだ!!あれで終わりだったの!!」


ホントごめんねっ!と必死に謝る晃を見て、

ショックのあまり、グラッと視界が揺れた。


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