《MUMEI》

.

清水君はわたしを怒りを込めた目で睨み、


「…調子に乗るなよ!」


怖い声で、唸るように囁く。
わたしの腕を握る手に、力が込められた。



………そっちがその気なら、

こっちだって、容赦しないわよッ!!



わたしは横目で清水君の顔をチラリと見遣り、すぐに行動に出た。

わたしの腕を掴んでいる清水君の手首を掴み、素早く自分の身体を180°反転させて、背中に回り込んだ。わたしの動きに怯んだのか、清水君は体勢を崩す。

わたしは彼の手首を掴んだまま、両腕を振りかぶり、彼の身体を脇腹に乗せながら勢いよく斬り下ろす…。


それだけで、易々と清水君を投げ飛ばせる、はずだった。


………しかし、


清水君は転ばないように、しっかりと床を踏ん張り、体勢を持ち直すとすかさずわたしの両足を足払いしたのだ。

わたしはなすすべなく、床に尻もちをつく。


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫