《MUMEI》 . 廉は表情を崩さぬまま、教室に入ってくる。 こんな現場を目撃されて、しかも顔色ひとつ変えない廉に、清水君は慌てたようだった。 動揺しつつも廉をギロリと睨みつけ、なんだよッ!!と凄む。 「なんか用かよッ!?」 清水君の怒鳴り声を聞いて、廉はヤレヤレといったふうに肩をすくめた。 「なんか用って、ここ、俺のクラスだし」 荷物取りに来ただけ、と簡単な調子で答えた。 そういえば。 廉は放課後、マンツーマンでガイダンスがあると言っていた。おそらく、説明を聞き終えて帰宅しようと教室へ戻ってきたのだろう。 . 前へ |次へ |
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